お腹が空いたら食べるんだ

テキトー・ノンビリ・ガンバラナイ

「本心」平野啓一郎を読んで

「自由死」が合法化された近未来の日本。
最新技術を使い、生前そっくりの母を再生させた息子は、
「自由死」を望んだ母の、<本心>を探ろうとする。

 

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近未来のお話。
お母さんと主人公の関係はもちろんだけど。

主人公のシゴト、シゴトに関わる様々なこと。
主人公に降りかかってくる出来事。
関わる人々。関係性。

それらすべてが、
私を、不思議な世界に
連れて行ってくれた。

主人公は
亡くなった母の
イメージ映像と話すんだけど
そのなかで
知らない母を知ろうとしていく。

母の年下の友達で
ルームメイトになった女性。

主人公を経済的に援助することとなった
アバターデザインの高所得者、障害を持つ青年(少年)。

母の愛人。

主人公の人生・仕事を変えてしまった
小さな出来事に関わる人々。

登場人物もみな
魅力的でした。

 

それぞれが
それぞれの考え方をもち
自分の人生を歩いていく。

知らなかったお母さんの
本当に考えていること。
本当の本当の
本心とは
お母さん、自分だけのモノなのかもしれないし
皆と同じものかもしれないし。

私の考えは
私だけのモノかもしれないけれど
私だけの考えじゃないかもしれない。

違うと感じていることも
視点を変えれば
同じことになったり。

私たちは
どんどん、個人化していくし
さらに、細分化していく。
自分の中でも
言葉を使って
何かを分析したり
境界線を自ら作って
自分を細分化していく。

これ以上細かくなっていったら
それが粉になって
見えない光になって
ただの周波数にすべてが変わっていったなら
そしてそれがひとつになっていって
宇宙と溶け合うのだろうか。

そうなると、今現在、細分化しているのは
進歩の中の一部なのか。

そんなこととはさておき
近未来の楽しい不思議な出来事もふくめて
読書の醍醐味が味わる本です。